●桑原茂夫 個人誌「月あかり」情報
第5号発行:
◆【まえがき】から
澁澤龍彦さんがふっと彼岸へ旅立って、はや三〇年目の夏。その奥つ城周辺のたたずまいは、三〇年の歳月などものともせず、生い茂る樹々の匂い、雨と降りしきるセミの声、等々、夏を夏たらしめる濃厚な気配を漂わせ、しかも、ゆうゆう。いかにも澁澤龍彦さんここにあり、なのでした――
と、そのいっぽうで、澁澤さんがあれほど力を尽くして追求してきた、想像力の果てしなき深化、
その過激なまでの展開は、今やむしろ、なりをひそめるが如くです。
このままでは、ずるずると泥沼に引きずり込まれるばかりと心得て、さてここは、鬼にもなろう、
邪にもなろうと覚悟を決めて、目には見えねど強力な結社を! と檄を飛ばしたいと思っています。
◆【あとがき】から
なかったことにする?――
都合のわるいことに直面すると、手っ取り早く「なかったことにする」手法が流行っている。恥ずかしくないのかね。いったいどうなってるんだ、と思うこっちがおかしいのかしらん。関東大震災から、日をおかずして各地で起こった「朝鮮人虐殺」もまた、なかったことにされようとしていて、ビックリである。東京の首長が率先してそのような姿勢を示していると知って愕然。吉村昭さんの『関東大震災』(文春文庫)というすぐれたドキュメントがあるけれど、公にされてきた第一次資料も仔細に読み込んで書かれたこの作品ぐらいは、大災害時に先頭に立つはずの為政者たるもの、読んでおけよ! 事件の背景もたちどころに見えてくるぞ。あの、シナ・チョウセン嫌いの石原慎太郎でさえ追悼していたほど、無残な大事件だったのだぞ、おい、こら!
◆【CONTETS】
●新連載・ぼくが出会った端倪すべからざるひとたち
――澁澤龍彦さんの巻
●オトーサン・その4 オノレを失くしたオトーサン
――心が見当たらくなっていったオトーサン
●コラム――高畑勲がつくるちひろ展/815展/
宝塚で阿弖流為!/一段と飛躍を遂げた月船さらら
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